膠原病リウマチ内科
担当医師
院長 明石健吾(紹介ページはこちらから)
はじめに
「膠原病」「リウマチ」と聞いてどのような印象を持たれるでしょうか?
「難病」「とにかく怖い病気」「ステロイドホルモンを飲まなければならない」といった印象をお持ちであったり、「そもそも膠原病・リウマチって何?」と疑問をお持ちであったりする方も多いと思います。
当院では、患者さまがお困りの症状に関して膠原病リウマチ疾患の関与がないか、専門的な診察・検査・治療を受けることが可能です。
患者さまのライフスタイル・ご要望に沿った診療を行うよう心がけますので、気になる患者さまがおられましたら是非お気軽にご相談ください。
「膠原病」とは?
そもそも病気というのは、「一つの臓器障害が原因で一つの病気が起こる」と考えられていました。病理学者のPaul Klempererは、「一つの臓器に留まらない全身の病気」が存在することに気づき、それらは臓器と臓器をつなぐ結合組織 (=膠原線維) に病気の主座があることを見出しました。1942年に、これらの疾患群を「膠原病」と呼ぶことを提唱しました。つまり、「膠原病」とは病名ではなく疾患概念であり、「心臓病」の中に不整脈や虚血性心疾患があったりするのと同じで、「膠原病」の中にも種々の病気が含まれます。
当初Paul Klempererにより提唱された古典的膠原病には「全身性エリテマトーデス」「多発性筋炎・皮膚筋炎」「強皮症(全身性硬化症)」「結節性多発動脈炎」「関節リウマチ」「リウマチ熱」の6疾患が含まれますが、「リウマチ熱」は後に感染症であることが判明しており、現在は膠原病の中には含まれません。他5疾患は今でも膠原病の代表疾患であり、いずれも自己免疫が関与する疾患であることが分かっています。また、関節・筋・皮膚・血管の炎症を引き起こす病気としても知られており、炎症性疾患という側面もあります。つまり、膠原病とは「全身性自己免疫性炎症性疾患」と言い換えることが出来る疾患群です。前述の5疾患以外にも多くの疾患が膠原病に含まれるようになっており、「膠原病」といっても「とても怖い病気」「それほど怖くない病気」「ステロイドをたくさん使う病気」「基本的にステロイドを使わない病気」など多岐にわたります。また、同じ病名をお持ちの患者様同士でも、お困りの症状・問題となる臓器病変が異なり、またその程度も異なることが多々あります。
図:膠原病の症状
「リウマチ」とは?
リウマチの語源はPaul Klempererから遡ること2000年以上も前の紀元前、古代ギリシャの「流れ」を意味する「rheuma (ロイマ)」という言葉に端を発します。当時、悪い液体が体中を流れることで関節や筋の痛みが生じると考えられており、これらの疾患群を「rheumatism (リウマチ)」と呼ぶようになりました。転じて「リウマチ」とは「あちこちが痛い疾患」であるとともに、「悪い液体が駆け巡る」という発想はのちに「自己免疫」や「炎症」が全身を巡ることが分かった「膠原病」と類似している概念と考えられます。実際、膠原病では関節・筋・皮膚・血管の炎症が生じる結果、全身の疼痛が生じ得ますので、「リウマチ性疾患」と「膠原病」は、ほぼ同義として用いられることが多いです。
また、医療従事者が単に「リウマチ」と言う場合、「関節リウマチ (rheumatoid arthritis)」という疾患の事を指すことがほとんどです。一方で、温泉の効能などで「リウマチ」が用いられる影響か、一般的には「リウマチ」というと単純に「あちこちが痛い疾患」と捉えられることがあり、これらの疾患の中には変形性関節症や骨粗鬆症からの圧迫骨折、脊柱管狭窄症など、膠原病や関節リウマチとは異なった疾患が多く含まれるものと思われます。
図:関節リウマチの関節の変化<イメージ図>
膠原病リウマチ内科とは
これまで説明してきたような、「全身性」「自己免疫性」「炎症性」「リウマチ性」疾患の診察を行う内科です。膠原病リウマチ内科で主に扱っている疾患を表に示します。多くの疾患は、問診、診察、血液・尿検査、画像検査などを組み合わせて慎重に診断をつける必要があります。診断が付けば、お困りの症状の程度、問題となる臓器病変を見極め、適切な治療を行います。病状によっては他診療科との綿密な連携のうえ治療を行うことが望ましい場合もございますので、そのような場合は高次医療施設へ紹介させていただきます。 治療はステロイド剤(副腎皮質ホルモン)が有名ですが、近年は「免疫抑制剤」「生物学的製剤」など薬剤の進歩により、ステロイド剤を全く用いない患者様もおられますし、使用するにしても必要最低限のみの量、且つ十分な副作用対策を並行して行います。生活習慣病などの膠原病リウマチ疾患以外の合併症をお持ちの患者様も多く、それら内科疾患の管理や、骨粗鬆症や感染症予防を始めとしたステロイド・免疫抑制剤の厳密な副作用対策も併せて診療可能です。
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抗核抗体が関連する
全身性自己免疫性疾患
(いわゆる膠原病の代表疾患)- 全身性エリテマトーデス
- シェーグレン症候群
- 強皮症(全身性硬化症)
- 多発性筋炎および皮膚筋炎
- 混合性結合組織病
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関節炎疾患
- 関節リウマチ(悪性関節リウマチ含む)
- 脊椎関節炎
強直性脊椎炎/乾癬性関節炎/
反応性関節炎
炎症性腸疾患関連関節炎 - 掌蹠膿疱症性骨関節炎(PAO)/SAPHO症候群
- リウマチ性多発筋痛症
- RS3PE症候群
- 結晶誘発性関節炎(痛風/偽痛風)
- 原因不明の関節炎
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血管炎症候群
- 小血管炎
- ANCA関連血管炎
- 顕微鏡的多発血管炎
- 多発血管炎性肉芽腫症
(旧:ウェゲナー肉芽腫症) - 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(旧:チャーグ・ストラウス症候群)
- 免疫複合体性血管炎
- 中血管炎
- 結節性多発動脈炎
- 大血管炎
- 高安病(大動脈炎症候群)
- 巨細胞性動脈炎(旧:側頭動脈炎)
- 小血管炎
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その他
- 成人発症Still病
- Behçet病
- IgG4関連疾患
- 再発性多発軟骨炎
- 自己炎症症候群
(家族性地中海熱など) - サルコイドーシス
- キャッスルマン症候群/TAFRO症候群
- 原因不明の発熱
診察風景
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関節チェック(触診)
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爪の異常チェック
患部画像出典元:日本皮膚科学会ホームページ皮膚科Q&A