更年期障害
更年期症状・更年期障害とは
日本人女性の平均的な閉経はおよそ50歳です。閉経の前後5年の10年間を更年期といいます。更年期には卵巣機能が低下し、卵巣で作られる女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が不安定になり、急激に減少します。これにより引き起こされるさまざまな症状を更年期症状といい、日常生活に支障をきたす場合は更年期障害とよんでいます。症状の種類や重さによって治療を選択することにより症状を緩和できる可能性があります。
引用:更年期障害疾患啓発サイト「エンジョイエイジング」
どんな症状がありますか?
更年期症状は月経不順(生理の周期の変化)から始まることが多いです。自覚症状としてはホットフラッシュ(首から上が急にかーっと熱くなってどっと汗がでる)に代表されるような血管運動神経症状、精神症状(イライラ・不眠・よくうつ等)、自律神経症状(めまい等)、関節症状(肩こり・腰痛等)などと様々で、個人差が大きいのが特徴です。
関連サイト
about_climacterium/
→更年期の症状について詳しく知ることができます。
https://w-health.jp/self_check/self_check_02/
→セルフチェックも可能です。
どんな検査をしますか?
更年期におこる多様な症状は、心血管系疾患や耳鼻科疾患、甲状腺機能異常症、関節リウマチ等エストロゲンの低下以外の病気でも起こることがあります。 一般的に更年期障害だけでは命の危険はありませんが、心臓の病気等がかくれていたりしたら大変です。 他に原因となる病気がないかどうか一通り血液検査等で確認する必要があります。 問診等により更年期障害を強く疑う場合は、血液検査で女性ホルモンの値(E2、FSH)を確認しますが、更年期はゆらぎの時期でもあるので、ホルモン値だけでは判断できないこともあります。子宮筋腫などで子宮摘出の手術を受けた方も血液検査で更年期かどうか知ることができます。また骨密度の変化や脂質異常症は自覚されないまま進んでいることがあり、レントゲン検査や血液検査で調べることができます。 ホルモン治療を行うにあたっては、乳癌健診や子宮がん検診、エコー検査が必要です。
どんな治療をしますか?
症状や状態に応じて個々人にあった治療を勧めています。
当院で実施している投薬治療は①ホルモン補充療法と②漢方治療の二つが主ですが、それ以外にも希望に沿って相談に応じます。
① ホルモン補充療法
不足しているエストロゲンを補うことで症状を緩和します。子宮がある方にエストロゲンのみを投与すると子宮体がんのリスクがでてくるため黄体ホルモン(プロゲスチン)の投与も一緒に行います。薬剤は主に内服薬、ジェル製剤、貼付薬等があります。この治療は特にほてりやホットフラッシュの症状が強い方に効果的です。 乳癌の既往のある方などはホルモン補充療法ができないことがありますので、投薬可能かどうかは医師に相談してください。
② 漢方治療
更年期のさまざまな症状に対して有効な漢方薬があります。ホルモン補充療法が難しい場合にも使用できることがあります。
③ その他
自律神経を整えるお薬や精神症状が強い場合は抗不安薬等も検討されますが、効果が乏しい場合は心療内科を紹介させていただくことがあります。
更年期障害は適切に治療できれば、生活の質が向上します。適切な治療介入により骨粗しょう症や高脂血症などの生活習慣病の予防にも効果的です。お一人で悩まず気軽に相談してください。